はじめに

オールシーズン用のスーツが欲しいんだけど…
「接客していると、最近このようなご要望を本当に多くいただきます!」
確かに「オールシーズン」という響きは魅力的ですよね。 一着で通年着られれば便利ですし、持つ着数も少なくて済むので、経済的にも助かる……というお考え、非常によくわかります。
ですが、ちょっと待ってください!
近年の日本の夏はどんどん過酷になり、暑い期間も長くなっています。「本当にオールシーズン用だけで乗り切れるのかな?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、夏用スーツを用意すべきか迷っているあなたへ、「オールシーズン用」と「夏用」の決定的な違いをスーツ業界約20年の現役店長が分かりやすく解説します。
この記事を読めば、以下のことがわかります。
- 夏用スーツの正しい知識が身につく
- 画像付きなので、見るだけで違いがパッとわかる
- 「自分には夏用が必要か?」の判断基準がはっきりする
ちなみに、私はかなりの「暑がり」なので(笑)、夏用を用意するメリットを人一倍実感しています😊改めてこの酷暑に夏用のスーツは必要かどうか考えてみてください。
結論 夏用に切り替えるべき理由3選

オールシーズン用は夏に着れないの?
結論から言うと、日本の夏をオールシーズン用で過ごすのはおすすめしません!その理由は大きく3つあります。
- 裏地の面積が違うから「涼しい」 背中の裏地を省いた「背抜き仕立て」により、通気性が圧倒的に向上します。
- 生地そのものが「夏専用設計」 薄く、風を通しやすい「織り方」を採用。熱を効率よく逃がしてくれます。
- 「スーツの寿命」に差が出る シーズン違いの着用による大量の汗は、繊維を傷ませる原因に。夏用に替えることで、お気に入りの一着を長く守れます。
では、それぞれ具体的にどう違うのか、詳しく解説していきますね!

オールシーズン用と夏用は作りと生地が違います!
夏用とオールシーズン用でここまで違う!裏地の付き方で季節がわかる『背抜き』のメリット

スーツの内側をじっくり見たことはありますか?実は、季節によって裏地の付き方はこんなに違うんです!



上の画像を見ていただくと、左から右にいくにつれて裏地の面積が少なくなっているのがわかりますよね。それぞれの特徴を簡単に解説します。
【左】総裏仕立て
言葉の通り、背中全体を裏地が覆っている仕様です。風を通さず保温性が高いため、主に秋冬用のスーツに採用されます。
【真ん中】背抜き仕立て
背中の下半分の裏地を抜いた仕様です。総裏よりも通気性が良く、軽くなるため、オールシーズン用や春夏用のスーツで最も一般的に使われています。
【右】夏用(清涼)仕立て
裏地を極限までなくした、まさに夏のための仕様です。熱がこもりにくいため圧倒的に涼しく、驚くほど軽い着心地が特徴です。

自分の持っているスーツは何シーズン用か見てみましょう。
透かして見れば一目瞭然。オールシーズン用とは決定的に違う生地の密度

裏地の量だけでなく、実は『生地そのもの』も夏専用に作られているんです!


先ほどの比較画像を見ていただくと、右側の夏用スーツは向こう側が透けて見えるのがわかりますよね。これは単に生地が薄いだけでなく、「織り方」にも秘密があります。
オールシーズン用(左)
「綾織り(あやおり)」という密度を高く詰めた織り方が一般的です。しっかりとしていて耐久性がありますが、その分、熱がこもりやすくなります。
夏用(右)
「平織り(ひらおり)」という、あえて糸と糸の間に隙間を作る織り方を採用しています。この織り方の隙間が『空気の通り道』になるので、風が吹いた時の涼しさが全く違います。

夏用は裏地も少なく、生地も薄いですので涼しいです。
わざと透かしていますが身体は入ればほぼ透けません。
放置は厳禁!汗が大切なスーツを傷ませる『最大の原因』である理由

違いはわかったけど、何とか我慢すればいんじゃない?
実は、夏用スーツをおすすめするのは『涼しさ』のためだけではありません。スーツの寿命、つまり耐久性にも大きな差が出るんです。
暑い時期に無理をしてオールシーズン用を着続けると、当然ながら汗をかく量が増えてしまいますよね。この「汗」と「湿気」こそが、スーツにとって最大の天敵なんです。
繊維が「無防備」な状態に ウールなどの繊維には「スケール(うろこ状の節)」があります。汗を吸うとこのスケールが開いてしまい、非常に傷つきやすい無防備な状態になります。普段スーツを休ませるというのはこの汗を乾かすという期間のことを指しています。
ダメージの連鎖(毛玉・テカリ) スケールが開いた状態で歩いたり動いたりして「摩擦」が加わると、毛羽立ち、毛玉、そして独特のテカリの原因になります。
裏地の変色・色褪せ 裏地に汗が蓄積すると、塩分や酸性成分によって生地が変色し、寿命を縮めてしまいます。

スーツにとって汗は大敵。値段が高いものほどデリケートな生地の場合がほとんどです。
夏用スーツの強い味方!肌着とステテコをうまく活用して汗のダメージを最小限に

汗への対策は何かないの?
実は、スーツを直接傷ませないための『防波堤』を作ることが、一番の近道なんです。
そこでおすすめなのが肌着とステテコの活用です。
汗によるダメージを抑えるために最も大切なこと。
それは、「スーツに直接汗を触れさせないこと」です。そのために欠かせない2つのアイテムをご紹介します。
シャツの下の「肌着」選び
「暑いから着ない」という方はいないと思いますが…実は夏用の薄手で速乾性のある肌着を着たほうが、ワイシャツに汗が染み込まず、見た目も清潔に保てます。
おすすめのデザイン: 夏場は上着を脱ぐ機会が多いですよね。シャツの下に肌着のラインが透けないよう、「ベージュ(肌色)」かつ「縫い目がない(シームレス)」デザインを選ぶと、スマートに着こなせます。
私が激推しする「ステテコ」の威力
スラックスのダメージで多いのが、内ももの変色や股下部分の傷みです。
これは、内側の汗が直接生地に染み込んでしまうのが大きな原因です。普段スラックスのもも部分の汚れやダメージが気になる方は必見です。
- ベタつきの解消: 特にリーズナブルなスラックスは内側に裏地がついていないことが多いため、汗をかくと不快なベタつきを感じやすくなります。
- 清潔さと快適性: ステテコを一枚挟むだけで、汗を直接スラックスに付けず、清潔に保つことができます。また、ステテコ自体が汗を素早く吸ってくれるので、履いているほうがかえってサラサラして快適なんです。

ステテコは本当におすすめです!私も一年中履いています!
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
あらためて、夏用スーツを取り入れるべきポイントをおさらいしましょう。
これまで解説してきた通り、夏用スーツにはオールシーズン用にはない圧倒的なメリットがあります。
・裏地が少ない: 「背抜き」や「清涼仕立て」で風の通り道を作る。
・生地が夏仕様: 「平織り」で隙間を作り、薄手で軽く仕上げている。
・汗対策の重要性: 汗は繊維を傷ませる最大の原因。肌着やステテコを併用し、スーツに直接汗を吸わせない。
「結局、夏用を買うのは高い」と思っている方へ
確かに、新しく一着用意すると瞬間的な出費は増えます。しかし、無理にオールシーズンのスーツを酷使して、ワンシーズンで汗ジミやテカリを作ってしまう方が、結果的には買い替えのサイクルを早め、不経済になってしまいます。
夏用を賢く使い分け、インナーで守ってあげること。これが、お気に入りのスーツを一番長く、安く愛用し続ける秘訣なんです!
何より、真夏の猛暑の中で受けるストレスを劇的に減らすことができます。 心身ともに軽やかに、そして大切なお金とスーツを守るために。ぜひ、今年は「夏用スーツ」という選択肢を検討してみてくださいね!
それでは、また。
ご来店ありがとうございました😃
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